MM-Zombie Lab(エムエムゾンビラブ)

MM-Zombie Lab(エムエムゾンビラブ)のブログは、MM-Channel Masaoが執筆している物語(SFとミステリーの要素を交えたゾンビホラー小説)とサバイバルや災害時に役立つ情報の記事とそれに付随した画像(写真やイラスト)と動画、4コマ漫画を掲載しているブログです。

Season01 巣の入り口 - Ep00 プロローグ

f:id:mm-ch:20190326230213p:plain

 

 己の欲を満たす為に虚飾の優位性を誇示する傲慢な蝶。他者の身魂を犯して己を慰める肉欲の蟷螂。己の食欲に任せて肉を喰らい続ける暴食の蠅。

 他者を妬み、卑下して生きる嫉妬の蝉。己の目的を実現させる為に他者を利用する怠惰な蛬。他者の物を奪い、肉体を奪い、命も奪う、強欲な蜘蛛。己の怒りに任せて暴力を振るう憤怒の蜂。

 これらは自分勝手な幸福と快楽を得て満足した虫。人として善く生きる事を止めた罪深い虫。この世界は満足した虫の世界。羊頭狗肉を体現する醜悪な舞台。

 このまま舞台の幕を下ろす事ができないのであれば、彼らは与えられた役を永遠に演じ続ける事になるのだろう。

 

 ただ傍観する事だけを強いられ、冷たい鎖に心血を繋がれている彼女は、登場人物の一人。怪しい月に憧憬し、物言わぬ亀に縋り、叶わぬ夢と在り得ない幻想に逃避する日々。

 変わりゆく己に絶望しながら、虫の世界を彷徨い続ける運命。今日も一人、花に集る虫を払い除け、悲哀に満ちた花占い。羊の鳴き声には、彼女の心が理解できぬ彼に向けられた虚しい独り言が重なる。

「好き、嫌い、愛してる、逃がさない、好き、忘れない、愛してる、許さない……」

 彼女は満足した虫の世界で生きる不満足な羊。虫の罪を負わされた贖罪の羊。

 

 彼女は自分に向けられる愛が、単なる自己愛に過ぎない事に落胆している。彼は青白い月明かりが射す大木の下に求める答えが見つかる事を願っている。きっと、彼らは自分達の残滓に意味を持たせる存在が何であるかを認識する事はないだろう。

 この戯曲を書いた作家は自分が記す不確定な結末を決めている。演出家は作家が独り善がりのペシミストではない事を知っている。きっと、観客達はこの舞台に壮大な群像劇と愛憎入り乱れる悲劇を期待している事だろう。

 

 ...Get a grip on yourself.

 Are you ready?